第9章 リヴァイとの個人訓練
落ちると思って衝撃を覚悟したのに、いつまでたってもそれは
やってこない。
代わりに感じたのはティアナの体を支える腕の感触で。
「大丈夫か?」
リヴァイの声にそっと目を開けると、その端正な顔がティアナを
覗き込んでいた。予想外の近さに顔が赤くなるけど、そんな場合
じゃないと深呼吸して落ち着ける。
「すみません、大丈夫です」
「そうか。ならいい」
そう言ってそっとおろしてくれた。
というか、さっきまで少し遠くを飛んでいたのにいつの間に
来たんだろう。
その速さもびっくりだし、下でティアナをしっかり受け止めたこと
にもびっくりだ。
「…あの、本当にすみませんでした。次は絶対に無いよう
気を付けます」
下ろしてくれてから黙ったままのリヴァイが怖くて、もう一度
ちゃんと謝る。それでも静かだから顔を上げてそっと窺うと、
手で顔を覆ってうつむいていた。
「…あの、兵長?」
そんな酷く呆れられた!?とティアナはあたふたしたけど、
不意にリヴァイの腕が目に入ってあの腕で支えられたんだ...とか
思い出しちゃって一人赤面して、それは訓練が終わるまで
引けなかった。
・・・
「…何あれ、リヴァイさんに助けてもらって。
…今夜決行よ」
少し離れたところにいた人影は、低く呟くと急いで去っていった…