第8章 訓練に訓練、そしてちょっとの甘さ
午後は予備の馬の運動を兼ねて、速足や駆け足などを練習する。
新兵のうちはまだ慣れていないのでみんなが苦戦し、
それを乗り越えて気持ちを通わせていくのだ。
が、規格外のティアナはまったく苦労していない。
初めから気持ちが通じ合っているので全部スムーズにいく。
ティアナはいつも馬を気遣ってるが、馬のほうもティアナを
思って優しくしてくれるため乗り心地は最高だ。
そして動物が好きなティアナは、自分も知らずのうちに微笑みが
こぼれ落ちる。
「あぁ、ティアナたんマジ天使…」
「ほんとそれな。普段笑わないから超レアだしギャップで死ぬ」
ティアナを見て男どもは目がハートに。
それぞれの班長がこっちの世界に引きずり戻していく。
「何であの子ばっかり…私の方が可愛いのに」
そんな様子を見て、ティアナに嫌味を言った例の女新兵は
悔しそうにティアナを見ていたかと思うと、ふと何かを思いついた
ようにニヤニヤしだした。
「いいこと思いついちゃった」
楽しそうに何かを考えている傍ら、ティアナは何も気づかずに
馬に乗って駆けていた。