第8章 訓練に訓練、そしてちょっとの甘さ
「…エルヴィン、それは命令か?」
「いや、そうではない。リヴァイが嫌だというのならそうしよう」
リヴァイの意思に委ねるつもりらしい。
だがこれでエルヴィンの許可は下りたというわけだ。
「ティアナはどこまで伸びるかわからない貴重な人材なんだよ、
リヴァイ。分かってると思うけどさ」
「……分かった、引き受けよう」
数分間の黙考の末、引き受けることを決めた。
それを聞いてハンジは良かったという雰囲気だが、エルヴィンは
自分も推薦したくせに何考えているのかよくわからない面をしていた。
「おいクソメガネ」
「あ、やだよ。私は忙しいからね、自分で伝えに行ってね」
それじゃあ、と慌てて去っていく。溜め息をつきたくなるが、
自分勝手なのはいつものことだと諦める。
「エルヴィン」
「…?あぁ、行こうか」
物思いに耽っていたエルヴィンを呼ぶ。
「何を考えていやがる?」
そう尋ねても、エルヴィンは曖昧に微笑むだけで何も答えない。
いつもは答えるか、まだ時期じゃないというかどちらかで、
間違ってもこんな風に微笑んだりしないのに。
理解できなかったが、その瞳がなぜか何かを堪えているように見えて、
リヴァイはそれ以上聞けなかった。