第8章 訓練に訓練、そしてちょっとの甘さ
エルヴィンと共に食堂を後にすると、その先の廊下でハンジと
鉢合わせする。モブリットはいない。
「あ!リヴァイ丁度良かった、探してたんだよ」
「何の用だ、クソメガネ」
「そんな怖い顔しないでよ。本当に真面目な話だからさ。
エルヴィンも聞いてほしい」
「分かった」
エルヴィンが頷く。
何を話し出すかわからなくて思わず険しい表情になるが、いつもの
へらへらしたハンジじゃないので怪しい薬についてとかでは
ないだろう。
「ティアナからの伝言。リヴァイに立体機動の訓練してほしいって」
「…それは本当か?」
「さすがにこんな冗談は言わないよ。でも壁外調査に向けて
これから忙しくなるし、無理かもとは先に言っておいたけど…
リヴァイ、どう?」
出来ないことはない、が。
前にもハンジが提案してきたその案を引き受けたら、何かが
引き戻せなくなる気がして躊躇う。
ましてや今回はティアナ自身のお願いだ。
「ティアナはもう十分なほどできている。俺が教える必要なんて
ないと思うが」
「でもリヴァイほどではない、違う?」
「…お前は引き受けてほしいのかほしくないのかどっちなんだ」
ハンジのどっちつかずの言葉に思わず問いかける。
「そりゃ私としては受けてほしいさ。…ただ、君の忙しさだって
理解しているし、決めるのはリヴァイだからね」
「引き受けたらどうだ、リヴァイ」
それまで黙って聞いていたエルヴィンが口をはさむ。
何を考えているのかと視線を合わせるが、そこからは何も読み
取れない。