第7章 初めての友達
唐突に、ベルは言った。
「ねぇ、一緒にお風呂入りませんか?」
「……なぜ?」
「ええと…」
いつも一拍置いて話をするティアナだったが、この時ばかりは
いつも以上の沈黙を経て返事をする。
ティアナはベルを困らせたくて問いかけたわけではなく、
単純に意味が分からなかったからだ。
元々複数人でお風呂へ向かう(入る)意味もティアナは理解
できなかったし、何よりこの流れで、初対面の人と、なぜ?
というわけである。
一方、ベルのほうもそんなこと聞かれるとは思ってなかったのか、
返答に困っていた。
「私が一緒に入りたいから、じゃだめかな?」
「…別にいいんじゃないですか」
「やったーじゃあ早速行こう」
準備を急かされ、ティアナは半分強制的に連行されていった。
…でも、本気で嫌がればベルの手を振り払えたはずなのに。
されるがままにしていた理由は果たして面倒くさいだけの
感情だったのか。
本人さえも、分からなかった。