第7章 初めての友達
あのちょっと衝撃的なベルとの出会いから数週間。
今まで入れ違っていたのが嘘みたいに一緒に行動するように
なった。
ティアナは一人でも構わないのだが、ベルが仲良くしたいとか
なんだとかで一緒にいる。
主にベルが話してティアナが時々相槌を打つというのが常であった。
望んで一匹狼になっていたはずなのに、自分で人と距離をつくって
いたくせに、知り合って間もないベルといるのは不快ではなかった。
あの時ベルの手に引かれてから何かおかしい気がする。
けれどそれが何かはわからなかった。
「ティアナ、聞いてるー?」
「…うん」
敬語は話しづらいからタメで、と言われて最初は戸惑ったけれど、
いつの間にか定着していた。
「疲れてる?少し顔色悪いよ。もう寝よっか」
「…大丈夫だから」
「でも心配だし、念のためにも」
「…わかった」
ベルについても、少し知ったことがある。
とても優しいこと。いつもティアナを気遣ってくれている。
今もこんなに心配してくれている。
でもティアナはそれが少しだけ申し訳なかった。
話す機会は増えても、タメで話していても、ティアナがいまだ
ベルに心開いていないのは変わらない。
それでもそんなティアナでいいと、ベルは気付かないふりをする。
それもまた、申し訳なかった。