第4章 卒業、そして入団
「ところで、君の名前は?すまないが、新兵はまだ覚えていなくて」
少しばつが悪そうに苦笑するエルヴィン。
ティアナは謝られることじゃないと思う。誰よりも忙しい団長が
入団したばかりのティアナたちを知らないなんて当たり前だろう。
「…ティアナ・ローエと申します」
「ティアナか、よろしく」
「…いえ、こちらこそ迷惑ばかりかけると思いますが、
よろしくお願いします」
胸を張って敬礼をする。
先日エルヴィンが教えてくれたように、『本物の』敬礼を。
エルヴィンはそんなティアナの考えがわかったように微笑んだ。
「いいんだ、楽にしてくれ」
そう言うとエルヴィンはティアナにソファーへかけるよう促す。
少し迷った末、失礼しますと言って腰かけた。
するとエルヴィンは立ち上がって二人分の紅茶を淹れ始めた。
「…団長?私が淹れますよ」
「いや、私が君に淹れたいんだ。その代わり君が今度ここを
訪ねて来た時はティアナに淹れてもらおうかな」
「…分かりました。それではお言葉に甘えて」
二人で紅茶を飲んで息をつく。
エルヴィンはとティアナは他愛もない話をして過ごした。
…ティアナは終始無表情だったので、エルヴィンが主に
話を振っていた。