第4章 卒業、そして入団
まずは奥から調べてみようと廊下を進み、
重厚なドアをノックした。
―コンコン
「入れ」
すると中から反応があった。
妙に聞き覚えのある声にティアナは思い出そうとするが、
ノックだけして入らないのは失礼だと思い扉を開ける。
「…失礼します」
まずティアナの目に入ったのは目の前にある大きな机。
そして…その奥に座るエルヴィンだった。
予想外の人物の登場にティアナは軽くパニックになるが、
同時に理解もしていた。
ここら辺に兵士がいないのは幹部たちの執務室的なところ
だからで、こんな奥まった場所にあるのも幹部か集まる
ところだったからだ。
そうと分かるとティアナはすぐにでもこの部屋から
出たかったが、エルヴィンによって阻まれた。
「何の用かな」
優しくティアナに尋ねる。
だけど嘘は許されない雰囲気で、どうしたものかとティアナは
考える。
考えた末、ありのまま話すのが一番安全だと思い話し出す。
「時間があったので、今後迷わないために建物をまわって
いました。ここが団長の執務室だとは知らずに入室した
無礼をお許しください」
ティアナは言葉と共に頭を下げる。
エルヴィンはそんな人じゃないと思うが、入団した日に
退団しては元も子もない。
「頭を上げなさい。君を咎めたいわけじゃないんだ」
一気にエルヴィンの纏う空気が変化し、柔らかくなった。
本当にティアナが言ったとおりだと信じてくれたのだろう。