第4章 卒業、そして入団
中に入って荷物の整理をする。
とはいっても、シガンシナから逃げてきて以来
何も買っていないティアナは荷物が少なかった。
訓練兵時代の給金もあったが、訓練兵団への支給品で
大体が賄えたため、ほとんど使わずにいた。
直ぐに整理が終わると、ティアナは暇になった。
新兵の歓迎会は夜にあるためそれまでは自由時間となっていたが、
特にすることがないティアナは困っていた。
「…そうだ」
ティアナは小さく呟くと部屋を出る。
今のうちに建物の構造を覚えておくことにしたのだ。
まずは女子棟を一回りする。
同じような扉がずらっと並んでいたが、特に変わったところも
なくすぐに見終わった。
…その後も様々なところを回り(男子棟除く)、
今後迷わないために大きなこの建物の構造を頭に
叩き込んだ。
そしてティアナの先にある奥まった場所で最後だった。
他よりもひっそりとしていて、部屋の数も少ない。
突き当たりには大きな部屋があった。
何の部屋なのか想像つかず、どうしたものかと首をひねる。
今まで回った場所はどんなところか見てすぐにわかったり、
そこら辺にいた兵士に尋ねたりして知っていた。
しかしここにはうろつく兵士もおらず、扉も閉まっていて
ひとつずつ訪ね歩く必要がありそうだった。