第4章 卒業、そして入団
―そしてやってきた兵団選択の時。
「訓練兵整列!」
先日の解散式を経た訓練兵がぞろぞろと中へ入っていく。
不安そうな者も、やる気が漲っている者もいる。
その中でティアナは無表情で無関心のようにすら見えた。
そしてそれはあながち間違っていない。
兵団を決めたティアナはこれから聞くであろう勧誘の言葉なども
どうでもいいことだったのだ。
そして壇上に立つ金髪の人。
「私は調査兵団団長、エルヴィン・スミス」
ティアナは初めてエルヴィンの姿を見た。
その力強い目にこれからついていくのに足る人物だ、と
ティアナは判断する。
「所属兵団を選択する本日、私が話すのは率直に調査兵団への勧誘だ」
「壁が破壊されてから3年…人類は尊厳を取り戻しつつある。そして我々は人類の自由を求めて活動している」
「だが壁外調査での損害は皆も知っての通りだ」
ティアナは綺麗ごとだけじゃないエルヴィンに好感を持った。
調査兵団が掲げる希望は素晴らしい。
だがあまりにも犠牲が大きすぎる。
「惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるという者は
この場に残ってくれ」
「自分に聞いてみてくれ!人類の為に心臓を捧げることが
できるのかを!」
エルヴィンは兵士をふるいにかけていた。
話を聞くだけでこの場から去る者は壁外に出て生きてなどいられない。
覚悟をした者だけが、自由を求められる。入団に値する。