第3章 孤高の天才
月日は飛ぶように過ぎて行き、ティアナら第102期訓練兵も
あと少しで卒業を迎えようとしていた。
この時期になればみんなの話題は所属兵団の選択だ。
憲兵団は内地で活動でき安全が保障される。
ただし、成績上位10名しか選ぶことができない。
そのため、ほとんどが調査兵団か駐屯兵団の2択となる。
やはり調査兵団は何といっても死亡率が高い。
だから基本駐屯兵団への入団が一番多いのだ。
そんな兵士たちを勧誘するため、兵力を一番要する調査兵団が
この時期の訓練兵に講義しに来る。
今日はその日だったため、兵士は室内にいた。
調査兵団団長であるエルヴィン・スミスが直々に
お出ましということで、女子は髪の毛を整えたり香りを
つけたり、ルージュを引く者さえいた。
「エルヴィン団長ってかっこいいよねー」
「ほんと!ま、でも調査兵団には入りたくないけど」
「それね」
女子はみんな同じような会話をしていた。
かっこよくてカリスマ性のあるエルヴィン団長に会うのが
楽しみなのだ。
だが命は落としたくないと、調査兵団には入らない。
エルヴィン団長がどういう人物なのか何も知らない
ティアナだが、他の兵士の話を聞いても特に何も思わなかった。
ティアナは女子特有の会話に興味がわかず、
到着するまで寝ようと机に伏せた。