第3章 孤高の天才
ゴールが見えてきて、ティアナはラストスパートをかけた。
今まで使わないようにしていたガスを使い、一気に加速する。
今までティアナに追いついた人はいまだ一人もいない。
他に誰もいないところでスピード出して飛ぶのは爽快だ。
ティアナの口元には微かな笑みさえ浮かんでいた。
「…ティアナ・ローエ着きました」
「了解。今日も一番だな」
「…はい」
到着して地面に降りれば、さっきの笑みなど跡形もなく
消え去っている。
相変わらず無愛想なティアナに教官は苦笑した。
それから少したってようやく2番目が到着し、
そのあとも3番、4番と続き、全員到着したのはティアナが
着いてから20分後のことであった。
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そうやってティアナが訓練で才能を発揮していくと、
ティアナはいつの間にか訓練兵団の中でこう呼ばれるようになる。
"孤高の天才"、と。
誰とも仲良くしない、無愛想な一匹狼だから孤高、
能力がずば抜けてすごいから天才。
安直なネーミングであったが、今のティアナには
ピッタリなあだ名だった。