第3章 孤高の天才
今日は立体機動の訓練だった。
立体機動を使っての訓練はまだそんなにやっていないため、
まずは感覚をつかむことが大事だと、林の中を飛ばされた。
ティアナが類まれなる才能を一番発揮したのは、
この立体機動だった。
林の入り口に訓練兵が並んで立ち、教官の合図で一斉に飛ぶ。
早く目的地に着いたものほど高い評価がもらえる。
だがティアナはそんなことより、早く飛びたくてうずうずしていた。
「訓練兵!!準備はいいな!…飛べ―!」
空中へと体が浮遊する。
この感覚がティアナはやみ付きだった。
そして迷いなく木々にアンカーを刺して移動していった。
・・・
訓練兵の様子を下で教官たちが見ていた。
その中の一人、キース・シャーディスはティアナを見つけ、
天才的な飛び方に目を開く。
そして思う。
座学でも運動面でも優秀で、兵士の命綱ともいえる
立体機動は特に近年まれに見ない素晴らしさだと。
だがその反面性格面に難あり、と判断する。
真面目で優秀なのは良いが、訓練兵の中で孤立している。
それではどこの兵団に入団してもうまくいかないだろう。
評価をしながら、少し心配するキースだった。