第12章 初陣・2
ティアナは急にやるべきことを悟り、冷静さを取り戻した。
それはむしろ、冷たさをたたえるほどで。
―イーゴンと一瞬目が合った時、まるで後は任せた、と言っていた
ような気がした。
ティアナの気のせいかもしれない。願望だったのかもしれない。
けれど錯覚のようなその眼差しは、少なくともティアナに精神的な
力をもたらしてくれた。
相手の巨人は数が多くて、6体を3人で処理した昨日とは違い
断然難易度が跳ね上がる。
それでも、ティアナはやり遂げなければいけない。たった一人で、
倒しきらなければ。
おぞましいことだが巨人は未だ二人に夢中でティアナのことには
気づいていない。不意打ちでどれだけ倒せるかで、後の戦局が変わる。
「―ふぅ、」
呼吸を調え、精神を落ち着け、隙を突くべくミッドナイトを走らせる。
正直、今いる巨人と更に押し寄せる巨人の波が怖くないわけじゃない。
でも今勢いを止めたら今度こそ本当に動けなくなってしまう。
だから仮初めの勇気でも。最後まで突き進むしかないのだ―