第12章 初陣・2
おそらく犠牲の度合いは左翼側も同じだろう。
初列索敵班はリヴァイやミケほどではなくとも、それなりに
実力ある兵士だって多いはずだ。
それなのに一部がもう壊滅している…?
あの日現れた超大型巨人と鎧の巨人以外、普通の巨人に知性はない。
だから今の状態は偶然が重なっただけなのだろうが―
最悪としか言いようがない。
まるで誰かが考えたかのような心理的・物理的にこちらを
封じるような状態。
もしかしたらあの知性巨人がかかわっている可能性も―?
…とここまで考え、ティアナはそれを打ち消す。
例えそうであろうとなかろうと、今は現状を何とかして打破するより
他はないのだから。
気持ちを切り替え、目的の兵士に先ほど聞いたことを伝えると、
ティアナは急いで自分の場所に向かう。
そうして、そこで見たのは。
―イーゴンとデリオが、まさに巨人に食われた瞬間で。
「いやぁぁぁ!!!」
ティアナは悲鳴を上げ、そして目の前の光景と母が殺された
光景が重なった。
自分の前で誰かを死なせないと、そう決めたのに。
今まさに死にゆくものが目前にいるのは、どういうことか。
悲しみと驚きと絶望で動けないティアナは、まだ辛うじて
息をしていたイーゴンと目が合う。ほんの少しだけ微笑んだような
気がして―
――その瞳から光が消えた。