第12章 初陣・2
どれくらい経ったかもわからなくなったころ、ティアナは
まだそこに立っていた。
しかしティアナがボロボロで、疲労困憊なのは誰の目にも明らかだ。
彼女の前には残り少なくなった巨人がいて、ティアナはなおも
その体に鞭打ちブレードを構える。
今持っているブレードが最後で、それも消耗が激しい。
巨人が倒れるのが先か、ティアナが戦えなくなるのが先か。
まさにそんな状態の時。
ふとどこからともなく影が飛び出して来て、残っていた巨人の
うなじを一瞬でそぎ落とした。
ティアナは次々と倒れていく巨人をどこか他人事のように眺める。
ここの巨人はすべて駆逐された。最後まで自分の力だった
訳ではないが―
ティアナは援護に来た人物を考えるでもなく、糸が切れた
人形のように崩れ落ちる。
意識が落ちる直前に聞こえた自分を呼ぶ声が、ティアナの
大好きな人に似ている、なんて思った。
・*・
「ティアナ!おい、ティアナ!」
リヴァイが呼び掛けても、腕の中の愛しい人は目を開かない。
まさかと目を見張るが、微かに胸が上下しているのを見て詰めて
いた息を吐きだした。
少し離れた場所でティアナが崩れ落ちた瞬間、リヴァイは心臓が
止まったかと思った。
―本当に、間に合ってよかった。
男としてはかなり小さい自分よりも、更に小さくて華奢なティアナを
抱きしめながら、心よりそう思った。
――――――
ヒーローの登場!!