第12章 初陣・2
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―偶然そのエルヴィンの言動を見聞きしてしまったリヴァイは、
今までの不可解な表情に対してようやく答えを見つけていた。
リヴァイにとって嬉しくないソレは、なのにリヴァイとティアナを
応援するかのような言動に戸惑う。
しかし今はその戸惑いよりも、縮まっていると思っていたティアナとの
距離が他の奴も同じだという気付きの方が重大だった。
つまりは、ティアナの魅力に気付くやつが今よりも増えるわけで。
その中にはきっと、年も近くてティアナに合う奴もいるに違いない。
それに比べ自分はどうか。年は十も離れ、ティアナが魅力的に
感じるのなんて実力くらいではないだろうか。
エルヴィンも年は離れるし欠点もあるが、それを引いたって余るほど
いい男だろう。認めるのは癪だが。
…なんて。壁外調査中にそんなことを考えてしまうのは、今のところ
損害がないから気が緩んでいるのだろうか。
「…クソッ」
リヴァイは気を引き締め直して頭を切り替えながら、
それでも片隅でティアナのことを想った。