第12章 初陣・2
「しかし君は、随分と変わったんだね」
突然の話題にティアナは戸惑う。
エルヴィンは優しく微笑んでいるが、その言葉の意図を掴めない。
「感情を表に出すようになった、といえばわかるかな」
その言葉にティアナは驚いた。
仲がいいベルや班の兵士ならともかく、初日以降ほとんど関わりの
なかったエルヴィンがそんな変化まで気付いたなんて。
「ティアナがうちに来たばかりのころに二人で話しただろう?
その時と今では反応が違うと感じたんだが」
「…はい。兵長やベルたちのおかげで自分を取り戻せたといいますか、
元の性格に戻ってきたんです」
「そうか。以前の君も良かったが、今の君も魅力的だよ」
エルヴィンの衝撃発言にティアナは唖然とし、驚きが冷めないうちに
良く休みなさい、と微笑みながらティアナの頭を撫で、
エルヴィンは去ってしまった。
少したってからティアナはようやくお世辞だろうと理解した
のだった。