第3章 孤高の天才
朝食を済ませ、訓練開始時刻までに外に出て待つ。
各自準備運動まで済ませておくのが当たり前だ。
ティアナも改めて体を伸ばす。
訓練がきつくなるほど、準備運動の大切さが身に染みる。
この前それをさぼって訓練した人が居て、
その日の訓練で脱落組となっていた。
その事件?があってからはみんな真剣に取り組んでいた。
ティアナは準備運動が終わり少しぼーっとしていたが、
足音が聞こえて敬礼のポーズをとる。
「訓練兵共!今日は午前中対人格闘、午後は乗馬だ」
『はいっっ!!』
「散って各自始めろ!」
教官の声でさっと広がる。
対人格闘、正直言えばティアナはあまり好きではない。
役に立たないからとかではなく、単純に勝算が低いからだ。
ティアナの身長は高く見積もって152㎝。
よっぽどのうすのろか、身長が近くないと勝てない。
今対戦してる相手も、大柄な男。
決して素早くはないが力が強い。力量戦に持ち込まれたが
最後、抵抗する間もないまま負けた。
「おいおい、そいつちっせぇんだから手加減しろよ」
「これでもしてるつもりさ」
ティアナの隣でやっていた相手の男の友人がからかう。
そんな遣り取りは色んな相手がしていて、はじめはティアナも
気になったが、やがて慣れていった。