第3章 孤高の天才
訓練兵になって数ヶ月。
訓練は順調だった。
毎朝早起きして、誰もいない外で筋トレをする。
終わった後はきっちりストレッチをして伸ばす。
ティアナは筋肉が圧倒的に足りなかったのだ。
だがこうして自主的にトレーニングすることで
段々と効果が出てきていた。
目に見える結果といえば、この前の荷物持ち持久走で
この前は死にかけたけど今回は最後まで普通に走り切れた。
体も前より柔らかくなり、動きやすくなった。
そうやって結果につながると、ティアナも達成感を感じた。
そして三年間お世話になる愛馬の元へ向かう。
丁度昨日初めて馬術の訓練があった。
その時に紹介されたのだ。
私の相棒はミッドナイトだ。
その名前の通り、真っ黒で艶々した毛が特徴の牡馬だ。
光の加減で青くも見えるこの子は、名前が合っている。
「これからよろしくね」
言いながら撫でるとすり寄ってきた。
人懐っこい性格なのかわからないが、昨日から
こんな感じで仲がいい。
まだ乗ったことはないが、きっと相性はいいと思う。
人に対しては冷たいティアナでも、動物に対してだけは
少し心を許せるようだった。
「またね」
少し名残惜しいが、そろそろ朝食の時間だ。
ミッドナイトを一撫ですると、ティアナは食堂へ向かった。