第12章 初陣・2
知りたかったことが聞けてティアナは満足する。
お礼を言って戻ろうとしたが、ずっと言わなければと思っていた
事を思い出す。
「ドロシーの件はわかりました。教えてくださって感謝致します」
「いや、君も知るべきことだったから」
「あの、もう一つお話しさせていただきたいことがあるのですが…
お時間大丈夫でしょうか?」
ただでさえ予定外に時間を浪費させているのだ。
申し訳なくて恐る恐る聞く。
「私の時間を気にしてくれるのはありがたいが、今は休憩中だから
大丈夫だ。さすがにここまで書類は持ってこれないからね」
「そうですね」
ティアナの様子を感じ取ったのか、冗談っぽく言って笑う。
ナナバも同じこと言ってたな、なんて思い出すと同時に、
エルヴィンが慕われるのはこういう細かな気遣いができるのも
理由の一つなんだろうと思った。
「それで、話したいこととは何かな」
「はい。本当はもっと前にお話しするべきだったのですが―」
ティアナは自分の夜に起きていられない体質のことを話した。
本来ならそんな体質で兵士などやってはいけないのかもしれないが、
家族を奪った巨人を倒したい気持ちは命ある限り変わらないし、
倒せると知ってしまった。
けれどティアナのせいで犠牲が出るのは言語道断である。
ティアナは最悪の場合退団も厭わない覚悟を決めて、エルヴィンの
もとに来た。