第12章 初陣・2
「それについてなんだけどね、申し訳ないんだけど私も知らないんだ」
「…そうなんですか?」
その答えは意外で、ティアナは驚きで軽く目を見開く。
ナナバですら知らないとは、どうなっているのか。
「その件についてはエルヴィンに聞いた方が早いと思うよ」
「団長に直接、ですか…」
結果は知りたいが、でもそんなことで多忙なエルヴィンを
煩わせるのは悪い。
それにちゃんと話すのだっていつぶりか分からない。
「今なら外にいると思うから、行って来たらどう?さすがに壁外まで
書類なんか持ってこれないし、帰ったら聞く暇もないと思うし」
「…はい」
・*・
結局、ナナバに背中を押されてエルヴィンを探すことにした。
外へ出ると、見張り役の兵士しかおらずとても静かだ。
見渡せるところにはいないようで、ティアナは少し周りを探す
ことにした。
建物の周りを歩いていると、少し奥まった人気のない場所に誰かが
いるのが見えた。
ティアナは近付いてみると、なんとそこにいたのはベルと、
リヴァイ班のエルドだった。
…しかも二人は抱きしめあっている。
ウソでしょ…
全く知らなかった二人の関係に驚きつつ、ベルの無事には安心しつつ、
どうやってばれないように戻ろうかなんてティアナが考えていた時。
「――ッ!」
「シッ。…こちらへ来なさい」
手を掴まれてびくっとすれば、ティアナが探していた人の声がした。