第11章 初陣
率直にティアナのことだけ聞くわけにもいかないし、
全体のことを気にかけているのも事実だから、リヴァイはこういう
聞き方をする。
「今回は被害が少ない。天候も良かったし、うまく陣形が機能
したんだろう。死人はゼロだ」
「……」
黙ったままのリヴァイを見て、エルヴィンはすべてを見透かした
ように微笑むと言葉を続ける。
「怪我人は10名ほどいるが重傷はいない。そして…ナナバ班の3名は
今のところ行方不明、と」
「……」
「心配ではあるが、あまりそちらに気を取られるわけにもいかない。
そろそろ兵士たちへ指示を出し目的を果たさないと」
「…あぁ、そうだな」
頭では理解している。
だが頭と感情は必ずしも同じわけじゃない。
リヴァイは自分でも驚くほどティアナが心配で仕方がなかった。
もちろん彼女が好きだからというのもそうだが、昨夜不安で泣いて
いたティアナを励ましたのはリヴァイ自身なのだ。
二つの理由が相まって、もしティアナに何かがあったらと思うと
気が気じゃない。
それでも何とかリヴァイは重い体を何とか動かして仕事へと向かう。
今回の調査は新兵がいることもあり、目的は拠点への物資の補充だけだ。
すぐに終わらせようと部屋を出た時―