第11章 初陣
「―どうやら、我々の心配は杞憂だったようだ」
そんなエルヴィンの声が聞こえて、どういうことだと
振り返りかけた時。
「ナナバさん!!よかった、着いた」
「おう、良かったな」
「…お前はなんもしてねぇけどな…」
「とにかく無事でよかったよ」
入り口からティアナの声が聞こえた。
慌てて視線を向ければ、ティアナ達三人の元気な姿がそこには
あった。
服や髪が少し血で汚れていて焦ったが、ティアナ自身には怪我が
見当たらずリヴァイは安心する。
「リヴァイ」
「…なんだ」
「…いや、やはり何もない。気にしないでくれ」
煮え切らない様子にいぶかしみ、リヴァイはエルヴィンを見る。
一瞬見えた横顔はティアナとの訓練を許可した時と同じ、
何かを堪えているような諦めているような、そんな顔で。
リヴァイは結局何も言えずに部屋を後にした。