第11章 初陣
次に狙いを定めた巨人は素早かった。
しかもちょっとオネェっぽい走り方で、これが人間なら笑う
ところなのだが…巨人に限っては悪寒が走るだけだ。
ティアナはなるべく視界にその走りを入れないように気を付け
ながら、背後から一気にうなじへアンカーを刺す。
本来なら歩けないように足などを負傷させてから倒すのが基本
なのだが、この巨人は素早いため、うまく切る保証ができない。
だからティアナは咄嗟の判断で、リスクは高いが確実に討伐できる
うなじへ直接飛んだのだった。
「よし」
無事に討伐し終わって、今度は血をかぶらないようによける。
…ここまでにかかった時間は5分弱。
やばい、急がないと。
馬で移動しているため、調査兵団のみんなは5分もあればかなり
遠くまで行ってしまう。
隊列を乱さないためにここで巨人を倒したのに、ティアナが
乱しては元も子もない。
ただ新たな信煙弾は上がっていないはずだから、進路は変わって
いない。急いで残りを片付けよう。
蒸気で見えずらいが、辺りを見れば残っているのはあと一体。
それも先輩二人が今まさに倒しているところだった。
「ふぅ、」
ティアナはそっと息を吐いてミッドナイトに乗り、
先輩たちの方へ近付いた。