第11章 初陣
急いで向かいながらも、奇行種ということは初列索敵班のみんなは
無事なのでは、と考える。
もしかしたら、遭遇していない可能性だってある。
巨人たちが来た方はナナバだっていたはずだ。実力あるナナバが
あれを見逃すとも、取りこぼすとも考えずらい。
1体が倒れた。すぐに二人が次の1体へ取り掛かるが、残りは
あと4体も居る。
今はまだ善戦しているようだが、いつどうなるかわからないし、
やはりこのままでは倒しきるより先に陣形の中へ食い込ませてしまう。
「はっ」
ティアナは巨人の後ろへ回り込むと、鋭く息を吐いて立体機動で
飛んだ。
足首の腱を目掛けて手に持ったブレードを振りかぶる。
シャキィィン
いい手応えだ。
巨人が倒れるより先にアンカーをうなじ近くに刺し直し、
倒れた直後にうなじを削いだ。
飛ぶのが遅れて巨人から噴き出した血をもろに浴びてしまう。
少し気持ち悪かったけれど、それよりも自分で倒した事への嬉しさで
そんなのも薄れる。
「これで討伐数1だ」
だが嬉しさに浸っても居られない。まだ巨人が残っているし、
一刻も早く終わらせて隊列に戻らなければ。
気を引き締め直して、そばに来てくれたミッドナイトに跨った。