第11章 初陣
リヴァイは眠ってしまったティアナを見つめる。
涙が残る目じりを優しくぬぐいながら、穏やかな顔をして
いることに安心した。
***
リヴァイは壁外調査の度、前後に必ずこの場所へ来ることにしていた。
調査の前は、一人でも多く仲間を死なせないと誓って、生きて
帰ってほしいと祈る。
帰ってきた後は、新たに死なせてしまった者、今までに命を散らした
兵士への追悼の思いと、己の不甲斐なさを反省する。
心の中でリヴァイが思ったって世界が変わるとか思いが届くなんて
もちろん考えてはいないが、せめてもの気持ちとリヴァイ自身の
心の整理のために欠かさず行っていた。
イザベルとファーランがいなくなった時ほど感情が荒れることは
なかったが、仲間が戦死すれば後に残るのは悲しみとやるせなさだけ…
そして今夜来てみればティアナがいて、泣いていたから心配した。
と同時に、こうして感情を露わにしている姿に安心もした。
いつだったか、まだ出会って間もないころに冷たい雰囲気をしながらも
寝顔はとても柔らかかったことを思い出す。
リヴァイはティアナを起こさないようそっと抱き上げて部屋へ
運びながら、ティアナがもう二度と殻に閉じこもることがない
ように努力しようと誓った。