第11章 初陣
そんなティアナを見て、リヴァイはそっと自分の方へ抱き寄せた。
「辛いことを話させてすまねぇな」
「いえ…」
「ティアナの恐怖は尤もだろう。だが、お前は強い。俺が認める。
ベルだって優秀だ」
リヴァイの腕の中で、彼にゆっくりと頭を撫でられティアナは
落ち着いてきた。
「すみません、もう大丈夫です」
しばらくしてそう言っても離される気配はない。
ティアナは落ち着いたらこの密着度が恥ずかしくて一刻も早く
離れたかった。
でも今離れたら顔が赤いのがばれてしまう。
そんな矛盾でパンクしそうになっていると、ふとリヴァイが
話し出した。
「…だが自分の力を信じても、信頼に足る仲間の選択を信じても、
結果は誰にもわからない。
だから、ティアナ。精々後悔しないほうを選べ」
「…はい」
いつかも聞いたその言葉と、どこか憂いを含んだ真剣な声にティアナは
しっかりと頷く。
人類最強の二つ名を持つ彼だからこその言葉の重みに、先ほどまでの
恐怖ではなく、ちょうどいい緊張と覚悟がティアナの中にあった。
その後はもう二人とも何も話さず、結局リヴァイがここに来た理由は
わからなかったな、と思いつつもティアナは心地よいリヴァイの
腕の中で微睡んだ。