第11章 初陣
「…兵長、」
「…風邪ひくぞ」
そう言われ、肩にかけられた兵服に気づく。
感謝と相手の心配のどちらを先に言おうかと考えながら顔を上げれば、
丁度リヴァイがティアナの隣に腰を下ろしたところだった。
この場にリヴァイがいることが信じられない。
驚いて涙も引っ込んで、ただリヴァイを見つめることしかできない。
「あ、あの…兵長はどうしてこちらに…?」
それでも何とか力を絞って問いかけるも、リヴァイは無表情で
何も言わない。
じっと見つめられたかと思うと、
「…涙は止まったみたいだな」
と言い、フッと微かに微笑んだ。
その月明かりに照らされたリヴァイの微笑みがあまりに綺麗で、
ティアナは見惚れてしまっていた。
ついこの間恋を自覚したばかりのティアナには刺激が強すぎる。
慌てて我に返りはい、と返事をした。
「それで、泣いていたのは不安か?恐怖か?」
理由を聞かれ、ベルと話したことから簡単に説明した。
そうしたらまた恐怖が襲ってきて泣きそうになる。
自分が死ぬことだってもちろん怖い。
けれど、それ以上に仲間が死ぬのが怖い。
今日、明日話して、笑いあってた仲間が帰ってきたときには
いなくなっている恐怖。
想像してしまって体が震える。