第10章 まったり休日
…だから、ティアナのこの気持ちは自分の中だけにしまって
おけばいい。
ベルには知られてしまったけど、少したってから憧れと勘違いしてた、
なんて言って誤魔化せばいい。そうすれば優しい彼女がティアナの
ことで気に病む必要はない。
相談に乗ってアドバイスしてくれたベルには悪いけれど――
「…伝えないでおく」
「どうして?」
予想外の答えだったのか、ベルはその大きい目を丸くした。
ティアナはどう答えようかと考えながら口を開いた時。
「やっほーティアナ、ベル」
「ちょっとハンジ分隊長、急にどっか行かないでくださいよ」
ハンジと息を切らしたモブリットが店内に入ってきた。
ティアナたちは窓に面した席に座っていたから、きっとそれで
見つけたのだろう。
上官を前にして敬礼をしようとしたけど、ハンジに止められた。
「いいよ、ここは街だし」
「了解です」
「ところで、私たちも一緒にお茶していいかな?」
『どうぞ!』
「分隊長、あなたはそんな暇ないでしょ…」
後ろでモブリットが何か言っていたけれど、結局4人で
お茶することになった。
そして、ベルに話しかけていたことは言わずじまいだった。