第5章 おとぎのくにの 3
うーん…
それにしても種類が多いな…
一体どれがいいんだ?
カズの好みも分からないし…
俺の趣味で選んでいいものか?
それとも、やっぱり本人に選ばせるのが1番なのかな?
でもカズが素直に選ぶとも思えないし…
大量の装飾品を前に本気で悩んでいたら
「ジュ、ジュンさま…」
困惑したような声でカズに呼ばれて我に返った。
「どうした、カズ?気に入ったものがあった?」
「いえっ…あの…その…」
カズは真っ赤な顔でしどろもどろになっていて。
なんだ?
困ってるわけじゃなくて、なんか恥ずかしそうだぞ?
「なに?どうした?」
「…どうして否定されないんですか?」
「は?何の話だ?」
カズの態度も言葉も本気で意味が分からなくて、首を捻っていたけど。
「私なんかがジュンさまの…か、彼女だなんて…そんな恐れ多いこと…そんな訳ありませんのに…」
続いた言葉にガクリと肩が落ちた。
「そんなの真に受けるな!そしてわざわざ否定するな!俺が落ち込むだろ!」
「も、申し訳ありません!」
分かりきってることでも言葉にされると悲しくて。
つい怒鳴ってしまったら、条件反射のようにカズが頭を下げた。
怒った俺が悪いけど、きっとカズは恐怖心が勝ってしまって俺の言ったこと理解出来てないんだろうな…
トウマなんて腹抱えて笑ってるというのに。