第5章 おとぎのくにの 3
「トウマは王宮騎士団に所属しているんだ」
「まぁ!トウマは騎士なのね!あ、だから護衛を…」
「はい。今回は私がジュンさまとカズさまに付き添わせていただきます。私以外にも別行動ではありますが護衛の者が数名おりますので、どうぞご心配なさらないでください」
トウマの言葉にサトもカズも目に見えてホッとしたようだった。
「それを聞いて安心しました。トウマ、どうかカズのことをお願い致します」
「サトさまっ、私のためにそんな…」
「ああっ、どうかお顔を上げてください…」
サトが深々と頭を下げたものだから、カズは頭を上げさせようと必死だし、トウマは動揺してオロオロしている。
そりゃ公爵令嬢が侍女のために頭を下げるなんて驚くよな。
でも2人してトウマばかりを頼ってるのが俺は面白くない!
安心してくれたのはいいけど、俺じゃ頼りないと言われてるような気がしてしまう。
「カズは俺が守るから!本当はトウマなんていなくたって大丈夫なんだからな!」
別にまるっきり護衛なしにしろとは言わない。
俺だって自分の立場は分かってるつもりだ。
でも他のやつらみたいに、別行動で見守ってくれれば十分だろ!
「それはダメですよ。王妃さまからもショウさまからも、くれぐれもそばを離れないようにと釘を刺されておりますので」
「………」
その名前を出されると俺はもう何も言えない。
今回のカズとの外出を母上も兄さんも賛成して後押ししてくれたけれど、護衛をつけることは絶対条件だった。