第5章 おとぎのくにの 3
それから数日後…
ジュンから届いた手紙を読んだカズは卒倒しそうになっていた。
そこには、誕生日祝いとして街の視察にカズを連れて行くと書かれていたからだ。
ショウから私宛の手紙にも同じ内容が綴られていて、その日カズをお休みにしてもらえないか、ワガママだとは分かっているがジュンの願いを聞いてもらえないかと、弟思いのショウらしい優しい言葉が続いていた。
もちろん私に否と言うつもりなど全くないけれど。
ジュンはショウだけじゃなく王妃さままで巻き込んでいて。
私たちの元に手紙が届く前に、王妃さまからうちのお母さまにカズの外出許可を請う連絡があったらしく、お母さまは当然のように快諾してしまっていて。
私たちがジュンの計画を知った時には、それはもう決定事項になっていた。
カズの立場ではジュンの誘いというだけでも断りにくいのに。
そこに王妃さまとお母さままで加わったら、もうカズにどうこう言うことなんて出来るわけがない。
しかも、身分を隠してお忍びで…と聞いたお母さまは何故かとても張り切ってしまって。
そうなったお母さまはもう誰にも止められなくて。
カズは真っ青になりながら何とかなかったことにならないかと願っていたけれど、どうにもならないまま今日を迎えてしまった。