第4章 おかえし『キミのとなりで ずっと』より
-Mside-
「これ…」
放課後、おもむろに智が差し出したのは、やたら可愛らしくラッピングされた箱。
「何?」
「その…バレンタインとホワイトデーのお返し…」
「えっ?」
驚いてマジマジと智を見てしまう。
恥ずかしいのか赤くなってモジモジしてる智はめちゃくちゃ可愛いんだけど。
「翔ちゃん♡これホワイトデーのお返し♡」
「ええ?お返しなんていいのに…」
「俺があげたかったんだもん♡開けてみて?智と一緒に作ったんだよ♡」
隣のバカップルから聞こえてきた会話にピクリと反応してしまう。
…ニノと作った?
だからこんな智らしくないラッピングなのか。
「ありがとう」
受け取って開けてみると、中には売り物みたいなクッキーが入ってた。
「すげぇ…」
食べるのが勿体無いくらい綺麗で美味そうだし、智が俺のために作ってくれたってことが何よりも嬉しい。
でも…でも、なんだよ…
「潤?」
「これニノと作ったの?」
「うん、急にニノに誘われて…ダメだった?」
俺の冴えない表情に気付いた智が不安そうな顔になる。
別にダメではない。
全然ダメじゃないんだけど…
「俺と作ろうって言ったじゃん…」
拗ねた気持ちになるのは許してほしい。
智と一緒にお菓子を作るの、実はすげぇ楽しみにしてたんだぜ?
「ごめん…断れなくて…」
まぁ、たぶんニノに強引に誘われて押し切られたんだろうっていうのは想像つくけどな。