第4章 おかえし『キミのとなりで ずっと』より
「俺も翔ちゃんにホワイトデーのお返ししたかったんだー♡」
ニノはご機嫌だけど、ホワイトデーにお返しって必要か?
そんなことしてたら、お礼合戦がエンドレスリピートになって終わらなくない?
ってか、作りたいならニノが1人で作ればいいじゃん…なんで俺を巻き込むんだ…
俺の心の声は顔に出ていたらしい。
「智やなの?俺とお菓子作りたくない?」
俺の顔を見るなり、ニコニコしてたニノの表情がくもった。
「俺は智と一緒に作りたかったのに…すっごく楽しみにしてたのに…」
悲しそうに瞳をウルウルと潤ませ、ションボリと肩を落とされたら、もう俺に勝ち目はない。
「全然いやじゃないよ。一緒に作ろっか」
そう言うしか選択肢はなかったんだけど、途端にニノの顔がパァッと輝いた。
「わぁい♡ありがと、智♡」
ぎゅうっと抱きついてくるニノはめちゃくちゃ可愛い。
この可愛い笑顔が見れただけでもう何でもいいやと思ってしまう俺は、やっぱりニノに甘いんだろう。
本当はお礼として、潤と一緒に何か作ろうって話があったんだけどね…
ニノには勝てなかったよ。
ごめん、潤…
「あのね、アイシングクッキーって言うのを作りたいの♡こういうのなんだけど、可愛くない?」
ニノがウキウキとスマホの画面を見せてくれて、それを一緒に覗き込む。
確かに可愛い。
潤が可愛いものを喜ぶかは不明だけど。
よし!
やると決めたなら、楽しもう!
早速腕まくりして、ニノと並んで手を洗った。