第4章 おかえし『キミのとなりで ずっと』より
-Oside-
「ねぇねぇ、智。明日ひま?」
昨日の夜、突然ニノから電話が掛かってきて。
特に予定はないって答えたら、問答無用でニノの家に行くことが決まってた。
まぁ、ニノの突拍子のないお誘いはいつものことだし。
それは別にいいんだけども。
「はい、これ着て♡わぁ、智可愛いー♡こっち向いて笑って♡」
何故ニノの家に着くなりキッチンに引っ張りこまれ、エプロンを着せられた上に写真を撮られているんだろうか?
「ニノ、何これ?」
「え?何が?」
何もかもが分からないから聞いたのに、ニノはキョトンとした顔で疑問を返してくる。
「俺は何で呼ばれたの?」
「ああ!」
もう一度聞くとニノはにっこり笑った。
「一緒にクッキー焼こうと思って♡」
「はぁ?なんで?」
確かに良く見ればキッチンにはお菓子の材料っぽいものが並んでる。
「智ホワイトデー忘れちゃったって言ってたでしょ?」
「…うん」
「潤くん、バレンタインにもくれたのに、ホワイトデーにもくれたんでしょ?」
「…うん」
そうなんだよ。
ニノの言う通り、俺はホワイトデーの存在をすっかり忘れてきってて。
なのに潤はしっかり用意してくれてたんだよな。
俺バレンタインも何もしてないんだけど。
それどころかバレンタインにも潤から手作りケーキもらってるんだけど。
「だからね、お返し作ろ!」
「えー…だから何で?」
潤にお礼をしなきゃいけないのは重々分かってる。
分かっているけども。
なんでそれがニノとお菓子作りをすることに繋がるんだ?