第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
ただでさえ女装してて気持ち悪いのに。
泣いたらますます不細工になっちゃう。
そう思うのに涙はとまってくれない。
「ごめ…嬉しくて……でも、すぐ…泣きやむから…」
こんな泣いてたら、雅紀もどうしていいか分からないよ。
目元をゴシゴシこすって。
何度も深呼吸して、何とか涙を止めようと努力する。
そんな俺を見て雅紀がため息を吐いた。
男のくせに泣きすぎって引かれてるのかも…
「はぁ……なんでそんなに可愛いの?」
「へ?」
でも雅紀の口から出たのは予想もしてなかった言葉で。
何を言われたのか分からなくて間抜けな声が出た。
「もう今まで通りなんて無理だよ…ニノ可愛すぎるんだもん」
何?雅紀は何を言ってるの?
「でも、ごめん…ニノの気持ちは嬉しいし、すごく可愛いと思うんだけど。彼女と別れたばっかでまだ気持ちの整理がつかないっていうか…」
そりゃ、そうだろう。
大好きだった彼女に振られて、まだ数時間も経ってない。
逆にもう整理がついたって言われたら驚くよ。
「キスまでしちゃって最低だと思うけど…まだニノと付き合うとか、そこまで考えられない…」
「最低だなんてそんなことない。キス…してくれて、俺は嬉しかった…」
雅紀とキス出来たなんて、俺には奇跡なんだよ。
そんなこと想像したこともないくらい、ありえないことだと思ってたから。
「付き合うなんて考えなくていいよ。俺の気持ちを否定しないでくれただけで十分だから」
それ以上のことなんて俺は望んでない。
そもそも、男と付き合うなんて考えられないでしょ?