第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
「いや…俺ちゃんと考えるから!ニノのこと!ニノとのこれからのこと!」
「え?」
考える?
俺とのこれから?
それって…
「これからも近くにいていいの?話しかけてもいやじゃない?」
「当たり前じゃん!むしろ避けられたら泣いちゃうよ!」
気持ちがバレたら全てが終わると思ってた。
軽蔑されて、二度と関わることはなくなるんだろうって。
初めから終わってた恋だけど、その時は本当に終わるんだって。
もしかして終わらないの?
雅紀は背中の手を外して俺から完全に離れると、真正面から向き合い直した。
俺に向かってまっすぐに手を差し出す。
「今までも友だちだったから今更かもしれないけど…とりあえず、友だちとしての仲をもっと深めるところから始めませんか?」
照れ臭そうに笑いながら、俺を優しく見つめてくれる雅紀。
差し伸べられた手を取っていいの?
「……はい…よろしくお願いします…」
ほんの少し躊躇ってから、思いきって雅紀の手に自分の手を重ねてみたら。
ぎゅっと力強く握り締められた。
なにも終わらなかった…
それどころか、ここから始まるんだ…
そう思ったら、また涙が溢れてしまって。
「ニノって泣き虫なんだね、知らなかったや」
くふふっと笑いながら、雅紀が涙を拭ってくれた。
「これから色んなニノを俺に見せてね」
俺の大好きな優しい笑顔が、今は俺だけに向けられている。
信じられないくらいの幸せを感じて、いつの間にか俺も笑っていた。
end