第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
嘘のない本当の気持ちなら届く?
雅紀を好きなやつがここにもいるよって。
あなたを想う人は彼女以外にもいるんだよって。
その事実は励ましになる?
少しは雅紀の力になれる?
伝えたら、もう友だちではいられない。
もしかしたら、ただ気持ち悪い思いをさせるだけかもしれない。
それでも今、雅紀のために俺に出来ることが、他には思いつかないから。
ただの自己満足かもしれないけど、気持ちを伝えてもいい?
「俺…雅紀が好きだ…」
「……え?……ありがとう?」
突然の告白に雅紀が戸惑ってる。
何が何だか分からないだろうに、お礼を言ってしまう辺りが雅紀らしくて。
そんなところも好きだと思う。
でもちゃんと分かってほしいから。
「恋愛対象として好きなんだ」
震える声を無理やり絞り出す。
緊張で心臓が口から飛び出しそう。
それでも雅紀の目をしっかり見て伝えることは出来た。
声も体も震えちゃっててかなりみっともないけど、本気なのは伝わったかな。
雅紀が息を飲むのが分かった。
「驚かせて、ごめん…こんなこと言われても気持ち悪いだけって分かってるけど…本当にごめん…」
驚きを隠せないその顔に申し訳なさが込み上げる。
「男の俺なんかに好かれたって迷惑なだけだろうけど、雅紀は男の俺まで惹きつける魅力を持ってるんだよ。俺にこんなこと言われても励ましにもならないかもだけど、雅紀ならすぐにもっと素敵な彼女が出来るよ」
それでも言いたいことは言わせてもらった。
ずっと雅紀を見てきた俺が言うんだもん。
間違いないよ。
雅紀みたいな素敵な人には、すぐに彼女よりもっと可愛くてもっと性格もいい、雅紀のことを大好きな人が現れるよ。
絶対だから。
早く元気になってね。
「気持ち悪いこと言ってごめん…もう近付かないから…本当にごめんね…忘れられるなら忘れてね」
雅紀は驚いた顔のまま硬直していて。
もうなんの反応もない。
これ以上ここに居ても迷惑なだけだろう。
「ごめん…帰るね…ごめんね…」
「待って!ちょっと待って!」
もう帰ろうと立ち上がろうとしたら、焦ったように腕を掴まれた。