第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
どうしよう…
素直に本当のことを言っていいんだろうか?
たぶん良くないよな。
でもとっさに適当な言い訳も思いつかない。
「ニノ?」
俯く俺の顔を雅紀が覗き込む。
そのまっすぐな目を見て、雅紀に嘘はつけない…つきたくないって思った。
恐る恐る口を開く。
「あの…雅紀が彼女と別れたらしいって聞いて…」
「え?!なんで知ってるの?!」
目をまん丸に見開いて驚く雅紀の反応に、この話は本当なんだと確信する。
「クラスの女子が偶然見たって…それを俺も聞いちゃって…」
「…そっか、見られてたんだ」
雅紀は静かに目を閉じると深く深く息を吐いた。
それが痛みを堪えているように見えて、俺まで胸が痛む。
「雅紀が傷付いてるんじゃないかって思ったら…足が勝手にここに向かってて…余計なお世話だって分かってるけど…ごめん…」
押し付けがましいし、どう考えても余計なお世話なのに。
雅紀は俺の言葉を最後まで聞くと
「いや、心配してくれたんだな。ありがとな」
お礼を口にして力なく微笑んだ。
その目は明らかに傷付いているのに、どうして笑えるんだろう。
勝手に押しかけてきた俺なんかに、どうしてお礼が言えるんだろう。
「振られちゃったよ、俺。何がダメだったんだろうな…」
ポツリと落ちた呟きは悲しみに溢れてて。
俺の胸を締め付ける。
「雅紀は何もダメじゃない!よく知らないのに悪く言うのは良くないけど…あの子に見る目がなかっただけだよ」
「はは、ありがと」
乾いた笑いに悲しくなる。
俺の薄っぺらい言葉じゃ雅紀に届かない。
慰めにもならない。
どうしたらいい?