第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
雅紀はすぐにペットボトルを持って戻ってきた。
「お待たせ!お茶でいい?」
「あ、ありがと。ごめん、お構いなく…」
突然押しかけた身だから申し訳なくて。
俯いたまま小さくなってたら、雅紀がふっと笑う気配がした。
「なんでそんな隅っこにいんの?もっとこっちおいでよ」
ぐいっと腕を引かれて、ベッドに寄りかかる形で雅紀と横並びに座らされた。
心臓がすごい勢いでバクバク言い出す。
だってこんなに近付いたことない。
今までずっと意識して距離を取っていたから。
一連の展開に頭が全然ついていけない。
でも今のこの状況がヤバいっていうのは分かる。
だってもう今にも想いが溢れてしまいそう。
こんなに近くにいたら、ドキドキうるさい心臓の音が聞こえてしまってるんじゃないだろうか。
心配になってそっと顔を上げてみたら、想像していたよりかなり近くに雅紀の顔があって。
至近距離でばちっと目が合って、顔が熱くなった。
でも雅紀は焦ったようにパッと目を逸らして。
その反応に冷水を掛けられたように頭に上っていた熱が冷めていく。
もしかしたら、女装したら雅紀に可愛いって言ってもらえるんじゃないかって。
そんな夢みたいなこと考えて、安易に引き受けてしまったけど。
やっぱり現実はそんなに甘くない。
「ごめん…こんなかっこで…気持ち悪いよな…」
泣きたい気持ちを押し殺して頭を下げる。
どんな言葉が返ってきても受け止められるように覚悟を決めて、ぎゅっと目を瞑った。