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イロイロ【気象系BL】

第3章 キミ色フォルダ Root Yellow



「え…?……もしかしてニノ?」

雅紀の目が驚きに見開かれる。

そりゃそうだよ。いきなり大して仲良くないクラスメイトが家の前にいたら驚くよな。

「どうしたの…?そのかっこ…」

言われてハッとした。

完全に頭から抜けてたけど、俺女装したままじゃん!

サーっと血の気が引いていく。

俺、本当に何してんだ。
こんな格好で何する気だったんだよ。

自己嫌悪で地面にのめり込みそう。
穴に埋もれて消えてしまいたい。

「ニノ?」
「ごめ…っ…なんでもないっ…」

もうどうすることもできなくて、走ってその場から逃げようとしたのに。

「待って!俺になにか用事があったんじゃないの?」

雅紀に手首を掴まれて、身動き取れなくなる。

そんな場合じゃないのに、初めて雅紀に触れられたことが嬉しくて。

手首に感じる雅紀の手の熱さに泣きそうになった。

「俺に会いに来てくれたんでしょ?寄ってってよ、ね?」

なんで突然来たのか…とか、なんで女装してんだ…とか。

絶対疑問しかないだろうと思うのに。

雅紀は何も喋らない俺に優しく笑い掛けると、掴んだ手を引いて俺を家に招き入れてくれた。

そのまま雅紀の部屋に通される。

「散らかっててごめんな!適当に座ってて?」

焦ったように床に散らばった漫画や雑誌を拾い集めながら、クッションを渡してくれて。

バタバタと慌ただしく部屋を出ていく。

手渡されたクッションを見つめるけど、それをお尻の下に敷くのは躊躇われて。

胸に抱きかかえて部屋の隅っこに座る。

朝起きた時のままっぽい乱れた布団や、脱ぎっぱなしのスウェットが目に入ってドキドキしてしまって。

どこを見ていいか分からなくて俯いたら、ロングのウィッグが視界を遮ってくれて、少しだけホッとした。

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