第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
「見えるよ!」
「めちゃくちゃ可愛いからね!」
「むしろ私たちが女としての自信失くすくらいだから!」
なんでかちょっと怒られて。
「…そう?なら、いいんだけど…」
その形相に負けて、すぐに引く。
自分じゃ分からないけど、みんながいいって言うならそれでいいや。
「服やメイクもっと細かく決めていかなきゃね」
「相葉くんと2人で優勝してほしいねー」
「いや、いけるでしょ!」
「そうそう、相葉くんて言えばさー」
わいわいお喋りが始まる。
どう考えても文化祭は関係なさそうな話。
俺、もう着替えていいかな?
終わったなら帰りたいんだけど。
「ねぇねぇねぇ!ちょっと大ニュース!」
こっそり制服に手を伸ばした時、ガラッと大きな音を立てて扉が開いた。
部活に行ってたっぽい女子数人が駆け込んでくる。
「あのね……わ!二宮くん!」
「うそ!可愛いー!」
何か言いかけてたのに、俺を見て気が逸れてしまったようだ。
目を丸くして、俺に向かってこようとする。
「二宮くんが可愛いのは分かってるから」
「それより大ニュースって何?」
それをみんなが興味津々って顔して止めると、ハッとして叫んだ。
「そうだった!あのね、相葉くん!彼女と別れた!」
………え?なに?雅紀が?
カノジョトワカレタ?
「うそー!!」
「本当なの!今、裏庭で彼女が振ってるところ見ちゃって」
「はぁ!?相葉くんを振るとかなんなの?」
「ちょっと可愛いからって何様のつもり?」
悲鳴じみた声が飛び交うけれど、俺はそれどころじゃない。
心臓がバクバクしてる。
「でもこれで相葉くんフリーだよ!」
「もしかして私にもチャンスがあったりして」
「ないない!」
「なによー」
女子って強い。
あっという間に前向きに捉えてる。