第3章 キミ色フォルダ Root Yellow
みんなそのまましばらくわちゃわちゃ遊んでたけど
「相葉くーん!」
「あ、来た!じゃ、また明日ね」
彼女が迎えに来ると、雅紀は爽やかな笑顔を残して去っていった。
「あー、本当に可愛いよなー」
「羨ましいー!」
雅紀を見送りながら、みんな口々に雅紀を羨む。
それでもそこに妬みみたいなマイナスの感情が感じられないのは、やっぱり雅紀の人柄のなせる技なんだろうな。
「悔しいけどお似合いだよな」
「雅紀もイケメンだもんなー」
確かに学年でもトップクラスの美少女と評判の彼女はとても可愛くて、爽やかイケメンの雅紀とはお似合いのカップルだ。
遠ざかって行く2人の後ろ姿に心臓がギュッとなる。
まるで青春ドラマのワンシーンみたい。
あいつが主人公なら俺は友人DとかE?
下手したらセリフもないエキストラかも。
ヒロインのライバルはおろか、当て馬にすらなれない。
だって俺は男で、あいつも男だから。
俺なんか相手にされない。
その土俵に上がることさえできない。
最初から叶わないって分かってるのに好きになって、報われないって分かってるのに諦めることが出来ずにいる。
しつこい俺の恋心。
伝えることなんて絶対出来ない。
相手を困らせるだけの気持ち。
先のないこんな恋心を抱えていたって虚しいだけだから。
誰でもいいから、早くこの想いを捨てる方法を教えてほしい。
頭ではそう思ってるのに、気持ちは簡単には変わってくれなくて。
今も目で追うことをやめられないでいる。
この気持ちは伝えないから。
バレないように隠し通すから。
いつか絶対に消すから。
だからその日まで、見ることだけは許してもらえないかな。