第16章 おとぎのくにの 8
「そういえば、マサキはどうしてこの子たちとこんなに仲が良いの?」
聞きたいことが聞けて満足したのか、子どもたちはまたそれぞれ遊び始めたのだけれど。
多くの子が一緒に遊ぼうと再びマサキを取り囲んだのを見て、ふと気になって尋ねてみた。
子どもたちがみんなマサキのことが大好きなのは見ていれば分かるけれど、そもそもの接点は何なのだろう。
「ああ、俺の同期にここの孤児院出身のやつがいるんです。俺そいつと仲が良くて」
「同期…騎士団の?」
「そうです。それで今も時々孤児院に顔を出してるって聞いて、ある時俺もついて行ったんですよね。で、一緒に遊んでたら何故か懐かれちゃって」
優しくて面倒見のいいマサキ。
本人は何故かなんて言っているけれど、きっとその時も全力で子どもたちの相手をしてあげたんだろう。
簡単に想像出来て何だかほっこりとした気持ちになる。
「それ以来、ちょこちょこ顔を出してたら仲良くなりました」
「ちょこちょこ…なるほど…」
子どもたちがマサキに懐いている理由を聞いて納得したけれど、同時にある可能性に気がついた。
「……マサキって、もしかしてお義姉さまとも面識があったりする?」
「はい。孤児院で何度かお会いしてお話したことがあります」
「そうなのね」
マサキが選ばれた理由。
もしかしたら、お兄さまはお義姉さまからマサキの話を聞いたことがあったのかもしれない。
孤児院での様子からその人柄の良さは分かるだろうし、それもあって私たちの護衛兼友人として選ばれたんじゃないかと思った。
お兄さまのことだから、もちろん面接もしっかりしたのだろうけど。