第16章 おとぎのくにの 8
怯える子どもたちを見て胸が痛む。
騎士たちに睨まれたら普通にこわいよね…
私にこの子たちを咎めるつもりはない。
だってちょっと驚いただけで直接何かされたわけではないし、この子たちが今から私に何かしてくるとも思えない。
でも、これが護衛たちの仕事だと言うのも分かる。
カズとマサキが何か言いたげな視線を私に向けた。
この場を何とかするのは私の役目だということだろう。
「……偶然マサキに会えて嬉しくなっちゃったのよね?」
少し考えてから子どもたちに向かって声をかけると、子どもたちはハッとしたように私を見て全力でこくこくと頷いた。
私が誰なのか分かっていないだろうけど、縋るような目を向けてくる。
もうこのまま解放してあげてもいいんだけど、一応注意はしておくことにした。
「危ないから次からは周りをもっとよく見て動いてね」
「はい、すみませんでした…」
子どもたちは神妙な顔をして素直に頭を下げた。
「もう大丈夫よ、ありがとう」
護衛たちに声を掛けて下がってもらうと、彼らもどこかホッとしたように見えた。
やっぱり子どもを怯えさせるのは本意ではなかったんだと思う。
「相手がサトさまじゃなかったらこんなもんじゃ済まなかったからな?次から本当に気をつけるんだぞ?」
シュンとした子どもたちにマサキがさらに言い聞かせてくれる。
可哀想な気もするけれど、この子たちの今後のためにも必要なことだと思ったから、口を挟むことはしなかった。