第16章 おとぎのくにの 8
「マサキ!」
「マサキだ!」
「どうしたの?」
「何でこんな所にいるの?」
子どもたちがキャッキャとマサキにまとわりつく。
「ちょっと落ち着けって」
マサキは困ったような顔をしているけど、慣れたように子どもたちを宥めていてあまり驚いている様子はない。
「マサキの知り合い…?」
「そうみたいですね…」
突然現れた子どもたちの正体が分かって、ホッと肩の力が抜ける。
カズもまだ私のそばから離れないけれど、緊張で強ばっていた体から力が抜けたのは分かった。
「マサキ何してるの?」
「騎士団のお仕事は?」
「今まさに仕事中だっつーの!」
子どもたちの無邪気な問いかけにマサキはほんの少しだけ声を荒げて。
「申し訳ありません、サトさま」
本当に申し訳なさそうな顔をして私に向かって深々と頭を下げた。
「謝らなくていいわ。この子たちはマサキの知り合いなのよね?」
「はい、そうです」
一応確認すると、すぐにマサキは頷いた。
そのやり取りを見て、ようやく子どもたちは私たちの存在を認識したようで。
「あ…」
子どもたちの中でも年が上の子たちは、まだ警戒態勢を解いていない護衛たちとその後ろにいる私たちを見るとサッと顔色を変えた。