第15章 おとぎのくにの 7
翌日、マサキは初めて護衛の仕事を休んだ。
昨日の帰り際とても体調が悪そうだったから心配していたけれど、やっぱり帰宅後に悪化して発熱してしまったらしい。
残念ながら私の祈りは届かなかったみたいだ。
また落ち込んでしまったカズを励ましつつ、すぐにお兄さまにお願いしてお医者さまを派遣してもらった。
幸い軽い風邪という診断で静養すればすぐに良くなるとのことだったので、カズと一緒にお見舞いの品をたくさん選んで届けてもらった。
本当はお見舞いに行きたかったけれど、それはお兄さまが許してくれず。
マサキ本人にも、そのお気持ちだけで十分ですとやんわりと拒否されてしまったので諦めた。
マサキがいない午後の時間は久しぶりで、何だか少し不思議な感じがする。
初めてお兄さまがマサキを連れてきた時は、護衛も新しい友人も必要ないと思っていたのに。
その人柄の良さですぐに馴染んで、どんどんマサキが一緒にいることが当たり前になって。
いつの間にかとても大切な存在になっていた。
もしもどこかに出掛けたければ他の護衛が付き添うと申し出てくれたけど、マサキが寝込んでいるのに遊びに行く気にはなれなくて。
マサキが復帰するまで自室でのんびり過ごすことにした。