第15章 おとぎのくにの 7
久しぶりの何も予定がない時間。
良い機会だと思って毎日カズとたくさん話をした。
あの日以降の王都の屋敷でのこと、こちらに移ってきてからのこと。
私が考えていたこと、カズの考えていたこと。
話せば話すほど、やはり言葉にしないと伝わらないことがたくさんあると改めて思った。
唯一お互いの気持ちを分かり合える存在で、カズは最初から私に寄り添おうとしてくれていたのに。
私はいつの間にか心配を掛けたくないからと心に壁を作ってしまっていた。
でもそんなことをしても何も良いことはなかった。
逆に余計な心配を掛けて、カズを追い詰めてしまうだけだった。
だからこれからはカズにだけは何も隠さないと決めた。
私が素直に思っていることをさらけ出せば、カズも応えるように胸の内を明かしてくれた。
ショウとジュンのことも避けることなく口にするようにして、楽しかったことを思い出せば笑い、辛くなれば我慢せずに泣いた。
今まで頭では理解していても、心は追いついていなかったんだと思う。
感情を押し殺すことをやめて、やっと現実を受け入れ始められたような気がする。
カズと二人で何度も泣いて。
どうしても同室にいる他の侍女たちの視界に入ってしまうから、またたくさん心配掛けてしまったと思う。
でも誰も何も言わなかったし、感情を見せるようになった私たちを見て皆どこか安心しているようにも見えた。