第2章 おとぎのくにの 2
おまけ
ーショウside-
「まだ戻ってこない…カズは大丈夫かな?ジュンはちゃんとカズを見つけたかな?やっぱり私たちも様子を見に行かない?」
カズが泣きながら飛び出して、ジュンがその後を追いかけて。
まだそんなに経っていないけれど、サトはずっとそわそわして落ち着かない。
「まぁまぁ、もうちょっと待とうよ」
「でも、もしまだカズが1人で泣いてたら…」
「大丈夫、ジュンは絶対カズを見つけてるはずだから」
カズの心配をしながら自分が涙ぐんでしまっているサトの背中を優しくさする。
「俺の弟を信じてよ」
「ごめん…ジュンを信用してないわけじゃないんだけど…」
安心してほしくてそう言ったのに、サトは申し訳なさそうに眉毛を下げた。
「謝らないで、分かってるから。それだけカズのことが心配なんだよね?」
サトはこくんと頷くと
「カズがすごく大切なの…私にはカズしかいないし、カズにも私しかいないから…」
ポツリと呟いた。
その言葉は全然悲観してる感じではなかった。
サトにしたらごく当たり前のことを口にしただけなんだろう。
でもなんだか俺がさみしくなって
「今は俺たちもいるでしょう?サトには俺もいるよ?」
「え?」
「カズしかいないなんて言わないで…」
思わず口からそんな言葉が出てしまった。